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NHKのアニメ作品『雪の女王 〜THE SNOW QUEEN〜』は、アンデルセン生誕200年を記念して制作されたもので、2005年5月から2006年2月の間に放映されました。そのストーリーは、本来アンデルセンの作品の1つ『雪の女王』の主人公であるゲルダが雪の女王にさらわれた友人を探す旅の中で、その他のアンデルセンの童話の主人公たちと次々と出会いながら成長していく、というものだと思います。

思えばもう10年以上前に放映されたアニメではあるのですが、不思議にこれを時々に思い出すことがあるんですね。一番心に残っているのは、第何話かに放映された『マッチ売りの少女』です。私が初めて『マッチ売りの少女』を読んだというか、見たのは、小学校の頃に図書館で借りた絵本でだったように思います。自宅の一室で1人の時だったと思いますが、この物語はとても悲しいんですよね。「どうしてみんなこの少女を助けてあげないんだろう？」と子供心に疑問に思いながら、最後に道で亡くなっている少女を見出した時には本当に泣きたい気持ちになったものでした。

ところが、『雪の女王 〜THE SNOW QUEEN〜』で同じ『マッチ売りの少女』を見た時にはたしかに悲しいのですが、子供の頃に読んだのとはずいぶん違った印象を受けたのです。どうしてかといいますと、この少女が亡くなって、それを見出したゲルダが泣いてくれるんですね。「そうか、自分と同じ気持ちの人がいてくれたんだ」と気づく時、自身はたった1人で少女の死を悼む必要はないのだ、と気づきます。ゲルダは治療者でも何でもなく、まだ幼い少女なのですが、こうした専門家でも何でもない人がこの世の中にはたくさんいて、実は私ども専門家の前に現れる前に（おそらくは出会った後も）多くの方が癒やされているであろうと知るのはとても心強く、ありがたいと感じます。