国分寺 精神科 心療内科 大学通り武蔵野催眠クリニック メンタルクリニック

自我強化は、直接に患者様の困っている症状にアプローチする前あるいは最中に、患者様の自信や回復への期待を高めたり、対処能力を強化したり、不安を軽減したりする作業のことをいい、身体医であったJohn Hartlandが1965年に身体を患っている患者に対してそれを行って以後、広く知られるようになりました。多くの患者様は、ご自身の病気で勇気や自信を失っていたり、治るとは信じられなかったりすることが少なくないので、折にふれて気持ちを持ち上げるところから始めようという試みですが、メンタル的に困っている方のためにも使われ、催眠を利用して行うとより効果が上がると考えられています。

現在では、自我強化のためにいろいろな方法が開発されています。ご自身の呼吸に気持ちを向けていただきながらリラクセーションを体験していただくことから始めるのが一般的で、それによって心の安定が期待できます。またしばしばイメージが利用され、具体的には患者様が本来得意としている技能（たとえばスポーツとか、楽器の演奏とか、その他何でも）に関するイメージや、将来回復した後の、あるいは逆に過去の成功体験のイメージを温めたり、患者様の中に息づいている健康なご自身のイメージにつながったりすることを通して、自信を取り戻したり、自己評価を高めたします。脳波を使った研究からは、自我強化はほかの催眠技法よりもθ波やβ波の活動を高めるのではないかともいわれています。

ひとつだけお断りしておきますと、自我強化を行うにはそのタイミングがとても大切です。1人の患者様でも、前向きになっている時もあれば非常に自信をなくして「これ以上何もしたくない」という瞬間もあり得るので、患者様に無理をさせないよう、その時々で最善な方法を選択するのが治療者の役割となります。