国分寺 精神科 心療内科 大学通り武蔵野催眠クリニック メンタルクリニック

ドクター紹介のページを見て下さった方は気付かれたかもしれませんが、私の持っている資格の１つに「精神保健指定医」というのがあります。その資格更新のための講習会が９月３日（日）に品川で開催され、参加してまいりました。

精神科医をやっていますと、心ならずも患者様の意に添わない提案をしなければならない時があります。あまりのむ気がしない薬をのんでほしいとお願いすることに始まり、いろいろな治療的な選択でも意見が異なることがあり得ます。それでも患者様のリスクが大きくなければ、患者様の望まれる治療をしてみて、かりに望ましい結果でなかったとしてもそこから気づいていただけることがあればそれでよいかもしれません。しかしたとえば認知症や統合失調症、躁うつ病、知的障害などの患者様の場合、調子が非常に悪かったりする際には、ご自身の選択がかなり危うく、生命に関わる可能性もあると説明しても理解していただけないことがあります。そんな場合には、ご家族の方などに代わりに治療に対する合意を戴き、治療者が最善と信じる治療をさせていただくこともあります。それは精神科病院への入院をはじめとして、身体的な治療だったりもします。治療者はみな患者様の嫌がる治療を施したくはないと思っているので、精神科医にとってもつらいところです。今回の研修の事例検討では、特に身体的な問題を抱えている患者様がその身体の重大性を十分にわからずにリスクをおかしてしまうという問題がテーマになっており、それぞれ担当している先生が真摯に対応されているのを知り、心を打たれました。

私は昨春当院を開業しましたので、非常勤で働いている精神科病院以外では上のようなジレンマを感じる機会はなくなりましたが、今さらながらに治療は法に則った正統な手続きを経て行われなければならず、しっかりと患者様の病状やリスクを判断し、その上で最善かつ患者様のご負担を最小限にすることのできる治療法を模索していかなければならないと感じています。最後になってしまいましたが、患者様の人権を守りつつ法の下で適切な治療を行うために、患者様の意志に添わぬものの入院を決めさせていただいたり、必要な身体的な治療などをさせていただいたりするために、最初に述べた精神保健指定医という資格が必要になります。