皮膚科領域における催眠療法の利用
2019年8月8日
皮膚は人の身体の一番外側を覆っていて、人の中と周囲の世界の境界となっています。したがって、外からの刺激やストレスを直接に受け止め、反応しやすい部分だということができます。ですから、皮膚疾患という身体の病気であっても、メンタル的な要素がベースに存在することが多いのです。
日本では一部のベテランの先生を除いて、まだまだ皮膚科領域で催眠を使われる先生は少ないと思います。しかし、催眠療法は尋常性疣贅、乾癬、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症、じんましん、発汗異常、舌痛症、そう痒症、抜毛症などの皮膚疾患、さらには皮膚の手術の際の痛みなどに対しても、その症状を軽減させる効果があると報告されています。
皮膚疾患に対する催眠療法の利用の仕方は、病気の種類や患者様によってさまざまに工夫されます。まずはストレスを下げるために、気持ちを安定させたり、リラックスしていただけるように催眠を利用するのが常道です。時には症状が軽くなる、症状の頻度が少なくなる、などの暗示を直接に与えることもあります。しかし薬物療法などが積極的に、長期にわたって行われているにもかかわらず回復しない場合には心理的な要因が絡んでいることが多く、それは丁寧に解きほぐされる必要があります。心理的要因としては、何らかの葛藤が存在する、その病気に対して何らかの意味づけがある、疾病利得がある、病気の発症時に大きな出来事が関係している、周囲にいる同じような症状を呈している人の影響を受けている、無意識に自身を罰している、なんらかの悪い刷り込みを受けている、などいろいろなことが考えられますが、それを患者様本人に気付いていただくために催眠が有効な場合があります。そして、実際のストレス状況に対する対処法を相談したりもします。患者様の治療に対するモチベーションが高ければ、自己催眠を教えて差し上げることで感情が安定し、回復の自信が高められると期待できます。
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