日本トラウマティック・ストレス学会 第20回オンライン大会に参加しました(1)
2021年8月4日
今回から何回かにわたり、7月17日―18日の2日間で開催されました日本トラウマティック・ストレス学会のオンライン大会に参加したご報告をいたします。現在はコロナ禍ということもあり、その話題を巡っても、患者様のご苦労や医療現場のスタッフの奮闘、オンライン診療の工夫、などシンポジウム、発表が見られたのは今回ならではというところがありました。今回は慶應義塾大学精神神経科科学教室の三村将先生の基調講演「脳科学からみるストレスと心身の不調」についてお伝えしようと思います。
ストレスとくればまずは連想されるのがうつですが、日本の生涯有病率6.2%という日常の臨床でよく出会う病態になります。最近はうつによる労働災害の認定も増えており、うつ状態下における自殺には深刻なトラウマがあることもある、といいます。
勤労者のコロナ禍という点では、1) 感染に対する不安、恐怖、2) オンライン勤務などの環境変化によるストレス、3) 自粛体制におけるストレス、4) 経済的な不安、などの視点から考える必要があるとの話がありました。コロナ感染蔓延のストレスの性質は、福島の原発災害の放射能と同様、慢性的で目に見えないストレスであり、確かにそのことが恐怖を掻き立て、将来の見えない不安を助長していると言えます。コロナ禍では例外なく圧倒的に多数の人がストレスを感じておられ、若い人や女性の自殺を増やしていることなどもあり、由々しき事態です。
三村先生の教室では、マウスを使った社会挫折モデルの研究が行われています。詳細は省きますが、小さいマウスと大きいマウスを1つの空間の中で飼っていますと、最初は小さいマウスは恐怖を体験し、それは大きなストレスで、大きなマウスに近寄らなくなるのですが、時とともに逆に近寄るようになるマウスもいたことが観察され、それはレジリエンスを備えたマウス、と評価されます。レジリエンスというのは、困難や恐怖のような状況に適応し、そこから回復する能力のことですね。これは、「ストレスによって意欲が低下」しがちであると同時に、「そのストレスに対抗できる力というのがある」ということだと解釈されます。そして意欲低下に関与するのはマウスの場合、腹側海馬という部位だと突き止められたといいます。海馬というのは、記憶に関与する脳部位ですね。次に大切なのは、どう「やったら意欲を上げられるか?」ですが、それが普段処方させていただいている抗うつ剤であったりするというわけです。現在三村先生の教室では、オリーブオイルがストレスを下げるかどうかの研究をしているとのことで、結果を期待したいですね。
さらに、勤労者のストレスの定量化や分析の話もありましたが、省略いたします。万能の薬というのはありませんが、毎年抗うつ剤を含む向精神薬が新たに処方可能になり、その前には多くの研究成果の積み重ねがあるわけで、私のような一臨床医はそうした研究者の皆様の功績のおかげで、わずかずつながらより良い医療が提供できる可能性が与えられるわけなのです。
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