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日本精神神経学会第117回大会に参加しました(1)ー神庭重信先生の「精神疾患の多因子性とその臨床的な意味」

日本精神神経学会第117回大会に参加しました(1)ー神庭重信先生の「精神疾患の多因子性とその臨床的な意味」

2021年10月10日

令和3年9月19日―21日に開催された日本精神神経学の会第117回大会にオンデマンドで参加しておりますので、そこで得られた情報を何回かに分けて皆様におすそ分けしていこうと思います。今回は、九州大学精神科の名誉教授であられる神庭重信先生の「精神疾患の多因子性とその臨床的な意味」という教育講演の要約をお伝えいたしましょう。

 

神庭先生はまず、統合失調症の家系であるゲナイン家の一卵性双生児の4人姉妹について話されました。この4姉妹は4人が4人とも20歳を越えたところで統合失調症を発症していますが、一卵性双生児ですので全く同じ遺伝情報を持っていたものと想定され、遺伝的要因が非常に強いケースだと考えられます。ところが、実はこの4人姉妹の症状や経過などを細かく見てみると様々であり、それらは決して遺伝情報だけで決定されているわけではない、ということも同時に示していました。その後スコットランドのケースを紹介され、それはある優性遺伝の遺伝子を持つ家系を追った調査ですが、その家系ではその遺伝子が精神疾患を引き起こすことになったのですが、そこに引き起こされた精神疾患は非常に多様で、その遺伝子がある精神疾患と1対1で対応しているわけではないということを示しています。さらに、かつては3大精神病といわれた病気の内の統合失調症と躁うつ病も共通の遺伝子を保有しうる、ということがわかってきました。そのようなことから、「遺伝子というのは一つの精神疾患を決定づけているわけではなく、様々な精神疾患になりやすい傾向を伝達する」と現在では考えられるようになってきました。実際のところ、その遺伝子というのもたった1つだけで精神疾患を発症しやすくなるというのは極めてまれで、多数の遺伝子を同時に持ち合わせることで初めてなんらかの精神疾患になりやすい傾向を抱え込むことになる、というのが普通です。逆に言えば、誰でもその「精神疾患になりやすい遺伝子」というのをいくつはは持っているだろう、というわけですね。

 

このことは、患者様やご家族、そして私のような一精神科医にとっても吉報ではないかと思われます。というのも、たとえばご家族に精神疾患をもつ方がおられたからと言って、その方が非常に高い確率で同じように精神疾患を発症するというわけではない、といえます。また、遺伝子はあくまで「精神疾患になりやすさ」を世代間で伝達しているだけで、上に申し上げたように環境が異なるとその遺伝子の影響は変わってくると考えられるので、予防的なかかわりも可能と言えるわけです。さらに、私ども精神科医は患者様がなんらかの精神疾患を発症されてからお会いすることが多くなりますが、それでもその後の経過をよくしていくためにさまざまなお手伝いができる可能性が大きい、ということも意味していましょう。精神科医からすると、個々の患者様に最善の治療、対応を考えていくのに苦労することも少なくありませんが、おそらくなんらかのご援助の方法を見出せるだろうと期待できることに、強く勇気づけられる思いがいたします。

 

 

 

 


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